東京大学教養学部 / 2007年冬
数学I <2007年冬 / 水曜1限(9:00-10:30) / 723教室 / 文科1・2年>
シラバス
- 授業の目標と概要:
解析学(微分と積分)の概念と方法について学ぶ.
現象を,いろいろな関数を用いて表現したり,微分積分を含んだ方程式で記述することは,
自然科学において確立した方法である.現象を理解するために,それに現れる複数の変数間
の関係を規定することは基本的であり,文科生が将来進む,経済学など 自然科学以外の多く
の分野においても,解析学の方法は有効に利用されている.
高等学校では多項式の微分を学んだが,この講義ではそれを発展させてより多くの関数
(分数関数,三角関数,指数関数,対数関数など)の微分,合成関数の微分やテーラー展開
による関数の表示などを学習する.さらに,2変数関数f(x,y)の偏微分について学ぶ.
また,微分法の逆としての不定積分の計算法を学び,定積分の計算に応用する.
- 授業計画:
1変数関数の微分と積分,および多変数関数(とくに2変数関数)
の偏微分の考え方の習得を目標とする.具体的項目は以下の通り.
- I : 微分法
0. 数と数列 / 1. 関数と極限 / 2. 導関数 / 3. 三角関数の導関数 /
4. 逆関数とその導関数 / 5. 対数関数と指数関数の導関数 / (曲線の媒介変数表示)
- II:平均値の定理とその応用
6. 平均値の定理 / 7. 関数の増減と極値 / 8. 不定形の極限 /
9. テーラーの定理 / 10. 関数の多項式近似 /
11. 関数の凹凸
- III:定積分
12. 定積分 / 13. 面積 / 14. 置換積分と部分積分 /
15. いろいろな関数の積分 / 16. 特異積分と無限積分 / (数式処理ソフトの利用)
- IV:定積分の応用
17. 面積 / 18. 曲線の長さ / 19. 回転体の体積と表面積 / (微分方程式) / (定積分の近似計算)
-
- V:偏微分
20. 2変数関数と曲面 / 21. 最大最小の問題
- 教科書:基本的には,次の本の内容に沿って講義を行う.
- 寺田文行,新微分積分,サイエンス社 (ISBN: 4-7819-0139-5),1979年,1155円
- 参考書:
- 寺田文行,演習微分積分,サイエンス社,1975年,1529円
- 小林昭七,微分積分読本(1変数),裳華房,2000年,2415円
- 小林昭七,微分積分読本(多変数),裳華房,2001年,2415円
授業記録(配布物等)
- 第1回:10月10日
- 授業の説明:教科書の項目に沿って授業する.出席は毎回とるが,成績への還元は少ない.成績は,レポート(中間試験代わり)30%,期末試験:60%,平常点(演習,成績):10%が目安.
- 0.数と数列:自然数,整数,有理数,実数,循環小数,数列,収束,極限値,発散,振動,コーシー列,級数,部分和,等比級数の無限和.(もう少し進みたかった…)
- 第2回:10月17日
- 0.数と数列(続き):循環小数.
- 1. 関数と極限:関数,定義域,値域,0/0の不定形,関数の極限,はさみうちの定理,右(左)側極限,連続.
- 2. 導関数:微分係数と導関数の定義,記号の意味.
- 注意(出席の取り扱い):出席点は,8割以上出席した人には,一律10点程度(レポートや期末試験の,(全体の)出来不出来を考慮して決めます)を付けます.それ以外は,考慮しません.
- 第3回:10月24日
- 2. 導関数:積商の微分,合成関数の微分,xnの導関数(nは任意の整数).
- 3. 三角関数とその導関数:sin x / x の極限値,sin x,cos xの導関数
- 問題集を用意しました=>演習問題(第1節〜第11節)PDFファイル.授業中に,演習をする時間がとれませんので,添削を希望する学生は,A4のレポート用紙などに解いて,斉藤に渡して下さい.←1月16日の項を参照のこと.
- 第4回:10月31日
- 4. 逆関数とその導関数:区間,単調な関数,逆関数,逆関数の導関数,xnの導関数(nは任意の有理数),逆三角関数とその導関数.
- 5. 対数関数と指数関数:自然対数の底 e の導入.
- 注意:黒板に描いた y = sin-1x のグラフに不備がありましたので,来週訂正します.
- 第5回:11月7日
- 5. 対数関数と指数関数:指数関数と対数関数の微分公式.対数微分法.
- 6. 平均値の定理:連続関数と最大値最小値,ロルの定理,平均値の定理,コーシーの平均値の定理
- 7. 関数の増減と極値:(狭義単調)増加・減少,極大・極小値
- 第6回:11月14日
- 7. 関数の増減と極値:不等式,最大最小
- 8.不定形の極限値:ロピタルの定理
- 9. テーラーの定理:高次導関数,ライプニッツの定理
- 予告.来週の授業で,レポート問題を出します.
- 第7回:11月21日
- 9. テーラーの定理:マクローリンの定理とテーラーの定理
- 10. 関数の多項式近似:ex,sin x,cos x,(1+x)aの多項式近似
- 11. 関数の凹凸(上に凸,下に凸,第2次導関数との関係,例)
- レポート:問題(
ここからダウンロード)(締切:12月7日)
- 第8回:11月28日
- 12. 定積分:原始関数,不定積分
- 13. 面積:定積分と面積
- 14. 置換積分と部分積分:置換積分
- 第9回:12月5日
- 14. 置換積分と部分積分:置換積分の続き,部分積分
- 15. いろいろな関数の積分:部分分数分解,部分積分の応用
- 第10回:12月12日
- 15. いろいろな関数の積分:三角関数の有理式,無理関数などの積分
- 16. 特異積分と無限積分:特異積分
- 第11回:12月19日
- 第12回:1月9日
- 16. 特異積分と無限積分:無限積分
- 17. 面積(つづき)
- 18. 曲線の長さ
- 19. 体積
- 20. 2変数関数と曲面:2変数関数,曲面,偏微分
-
- レポートの解答例:
ここからダウンロード
- 数学Iのレポート未提出者へ:レポートは1月16日の授業終了時までなら受け取ります.ただし,期限内に提出した人と同じようには評価できません.(どの程度成績に反映させるかは,試験の出来を考慮した上で判断します)
- 第13回:1月16日
- 20. 2変数関数と曲面:偏微分の変数変換公式
- 21: 最大最小の問題:停留点と極値
- 試験についての説明
- テキストにある問題(試験の範囲内・外の区別あり):
ここからダウンロード
この講義は終了しました。試験は,2月6日(水)1限です。