2010年夏, 金2限, 10:40-12:10
計算数理I (数理117室 / 数学科3年)
数理情報学I (数理117室 / 基礎科学科3年)
シラバス
- 趣旨・内容:数値解析法の入門講義.非線形方程式,連立一次方程式,常微分方程式などの問題を,
(コンピュータを用いて)数値的に解くための方法とその数学的理論を解説する.
具体的には,次の話題を扱う:
- 数値計算における誤差
- 連立一次方程式
- 非線形方程式
- 関数補間と数値積分
- 常微分方程式の初期値問題
- 共役勾配法
- 教科書・参考書:
- 山本哲朗,数値解析入門,サイエンス社(初版1976年,第2版2006年)
- 森正武,数値解析,共立出版(初版1973年,第2版2002年)
- 皆本晃弥,C言語による数値計算入門,サイエンス社(2005年)
- 注意:
- 偏微分方程式は扱わない(計算数理II,数理情報学II).
- 実際の数値計算には知識や論理のみでなく,
経験と勘も重要なので,計算数理演習または数理情報学I演習も併せて履修することが望ましい.
- 成績評価:レポートと期末試験
- 数理分類番号: 351
授業記録(配布物等)
- 第1回(4/9):
- 授業の説明(配布資料はCFIVEからダウンロードできます.ただし,演習受講者に限ります.)
- 0. 数値計算における誤差:浮動小数点数,丸め誤差,桁落ち,情報落ち,計算機イプシロン
- I. 連立一次方程式
- 0. 導入(代用電荷法,クラメールの公式,ガウスの消去法,二点境界値問題,Poisson方程式,大規模疎行列,線型反復法)
- 第2回(4/16):
- 1. 行列の型(エルミート,一般化狭義優対角)
- 2. ノルム(ベクトルのノルム,行列のノルム,スペクトル半径)
- 第3回(4/23):
- 2. ノルム(Banachの摂動定理)
- 3. 線形反復法(不動点形式,Jacobi法,Gauss-Seidel法,SOR法,収束定理)
- 第4回(5/7):
- 4. Gaussの消去法(LU分解,部分ピボット選択)
- 5. 安定性(条件数)
- 第5回(5/14):
- 5. 安定性(摂動定理,残差と誤差)
- II. 非線形方程式
- 1. 反復法の例(不動点形式,Newton法,緩和反復法)
- 2. 反復法の解析(縮小写像の原理とその系)
- 第6回(5/21):
- 2. 反復法の解析(収束の速さ)
- 3. Newton法の解析
- 4. 代数方程式(複素Newton法,Durand-Kerner法)
- 第7回(5/28):
- III. 関数補間と数値積分
- 1. Lagrange補間多項式(Lagrange補間多項式,Newtonの表現,誤差の表現)
- 2. Chebyshev多項式
- 3. Newton-Cotes積分公式
- 第8回(6/4):
- 3. Newton-Cotes積分公式(台形則,Simpson則,中点則,複合公式)
- 4. 直交多項式(直交多項式系の存在,零点の分布)
- 第9回(6/11):
- 5. Gauss型数値積分公式
- IV. 常微分方程式の初期値問題
- 1. 基本定理(解の一意存在,Lipschitz連続性)
- 2. 一段法(Euler法,一段法,局所誤差,大域誤差,離散化誤差)
- 第10回(6/18):
- 2. 一段法(局所誤差の評価、整合性)
- 3. Runge-Kutta法(2ステージ公式の構成、修正Euler法、Heun法、sステージm次の陽的Runge-Kutta公式、4ステージ4次のRunge-Kutta公式)
- 第11回(6/25):
- 4. RKF45公式
- 5. 連立微分方程式への応用
- 6. Adams型公式
- 第12回(7/2):
- 6. Adams型公式(離散化誤差の評価)
- V. 共役勾配法
- 1. 直交残差アプローチ
- 2. 共役勾配法
- 第13回(7/9):
- 第14回(7/16): 試験
- 試験範囲:第I章〜第V章(おもに演習問題から)
- 自筆のノートのみ持ち込み可(教科書,参考書,プリント,ノートのコピーは不可)
- 第15回(7/23): 休講
この講義は終了しました。