2014年夏, 金2限, 10:40-12:10
計算数理I <数理117室 / 数学科3年>
計算数理 <数理117室 / 統合自然科学科3年>
シラバス
- 授業の目標・概要
線形代数学では、正則な行列を係数行列とする連立一次方程式は、一意な解を持ち、それはクラメールの公式を用いて表現できることを学んだ。しかし、もし、クラメールの公式をそのまま用いて、未知数が30個の連立一次方程式を解こうとすれば、現在利用できる最も速いスーパーコンピュータを用いても、100億年以上かかる見積もりになってしまい、現実的でない。一方、それをガウスの消去法で求めれば、手頃なラップトップ型パーソナルコンピュータを用いても、 1/100秒もかからない。このように、数学的に解が表現できる、あるいは解が存在するということと、実際に数値を得ることの間には、大きな溝があるのである。数学的な概念や方法を通じて、現実問題を研究する際には、当然、数値的な答えが要求される。そのような問題に対処するために、様々な数学的な概念を、具体的に数値を計算するという立場から研究する分野を数値解析と言う。本講義は、数値解析への入門を目的とし、1年および2年次に学んだ微分積分学や線形代数学に現れる諸問題、例えば、連立一次方程式、非線形方程式、定積分、常微分方程式などを、コンピュータを用いて数値的に解くための方法とその背景にある数学理論の解説を行う。
- キーワード
数値解析、連立方程式、非線型方程式、数値積分、常微分方程式
- 授業内容
- 数値計算と数学
- 浮動小数点数系
- 行列のノルム
- 定常反復法
- ガウスの消去法とLU分解
- 安定性と条件数
- 補間多項式
- Newton-Cotes積分方式
- 直交多項式
- Gauss型積分公式
- 非線型方程式とNewton法
- 常微分方程式の初期値問題
- Runge-Kutta法
- 刻み幅の自動調節
- 共役勾配法
- 教科書
- 齊藤宣一:数値解析入門 (大学数学の入門9),東京大学出版会,2012年,3,150円,ISBN-10: 413062959X,ISBN-13: 978-4130629591
- 参考書
- 皆本晃弥:C言語による数値計算入門,サイエンス
社,2005年.
- 金子晃:数値計算講義,サイエンス社,2009年.
- 履修上の注意
- 計算数理演習を併せて履修することが望ましい.
- 本講義は,計算数理I(理学部数学科)と計算数理(教養学部統合自然科学科)の合同授業です.
- 成績評価
期末試験
- 数理分類番号
353
授業記録(配布物等)
- 第1回(4/18)
- 講義の説明,資料のスライドはITC-LMSからダウンロードできます
- 数値計算における誤差(浮動小数点数,桁落ち,情報落ち)
- 連立一次方程式への導入
- 第2回(4/25)
- 第3回(5/2)
- 2. 連立一次方程式の反復解法(Jabobi法、Gauss-Sedel法、SOR法、狭義優対角行列)
- 第4回(5/9)
- 3. Gaussの消去法とLU分解:(a)Gaussの消去法のアルゴリズム(b)LU分解(c)LU分解可能性
- 第5回(5/16)
- 3. Gaussの消去法とLU分解:(c)LU分解可能性の証明
- 4. 条件数と安定性
- 第6回(5/23)
- 5. 非線形方程式(Newton法、縮小写像の原理、p次収束、Newton法の収束)
- 第7回(5/30)
- 6. 非線形連立方程式
- 7. Lagrange補間多項式
- 第8回(6/6)
- 7. Lagrange補間多項式(誤差の表現公式)
- 8. 複合Newton-Cotes積分公式
- 第9回(6/13)
- 第10回(6/20)
- 11. 常微分方程式の初期値問題(一段法の離散化誤差と誤差)
- 第11回(6/27)
- 12. Runge-Kutta法
- 13. 連立微分方程式
- 第12回(7/4)
- 第13回(7/9水)
- 第14回(7/11) 期末試験
- 試験範囲:1節 11節
- 自筆のノートのみ持ち込み可(教科書,参考書,プリント,ノートのコピーは不可)
- 数学科の学生は4/3は休講です.
この講義は終了しました。