東京大学理学部 / 2007年冬
計算数学II(本郷) <火1(8:30-10:00) / 理4-1220 / 物理学科・天文学科 3・4年>
シラバス
- 趣旨・内容:自然科学や社会科学に現れる数学的問題を,
(コンピュータを用いて)数値的に解くための方法
とその数学的理論を解説する.具体的には,(順不同で)次の話題を扱う:
- 数値計算における誤差
- 非線型方程式
- 連立一次方程式
- 補間多項式
- 数値積分
- 常微分方程式
- (固有値問題)←時間があれば
- 成績評価:(学期途中の)レポート2回
- 教科書・参考書:
基本的には,次の本に沿って講義をします:
- 山本哲朗,数値解析入門,サイエンス社(初版1976年,第2版2006年)
次の本も参考にして下さい:
- 森正武,数値解析,共立出版(初版1973年,第2版2002年)
- 皆本晃弥,C言語による数値計算入門,サイエンス社(2005年)
授業記録(配布物等)
- 第1回:10月2日
- 授業の説明.出席の扱い(出席は毎回とるが,直接的には成績には反映しない).成績評価方法(数値実験を含むレポート2回,期末試験),など...
- I. 数値計算における誤差.1.丸め誤差(浮動小数点数,相対誤差の上限),2.桁落ち(例など),3.打切り誤差
- 訂正.定理1の証明で,例1につられて変なことを言いました.次のように訂正してください(定理の主張,証明自体は間違っていません):区間$[\beta^{q-1},\beta)$の長さは$(\beta - 1)\beta^{q-1}$で,この区間内に浮動小数点数が等間隔で$(\beta - 1)\beta^{n-1}$個入っている.したがって,この区間内では,浮動小数点数は,$\beta^{q-n}$の間隔でならんでいる.....後は同じ.
- 第2回:10月9日
- II: 非線型方程式.1. 反復法(Newton法,簡易Newton法など),2.反復法の収束(Lipschitz連続性の導入,縮小写像の原理とその系),3.反復法の収束の速さ(p次収束の定義)
- 補足.黒板にはちゃんと書きませんでしたが,関数$g$が,Lipschitz条件(定理1の仮定(ii))を満たすとき,$g$はLipschitz連続である,と言います.また,定義に出てくる$\lambda$をLipschitz係数と言います.特に,$(0\le )\lambda < 1$のとき,$g$を縮小写像と言います.
- 第3回:10月16日
- II: 非線型方程式(続き).3.反復法の収束の速さ(Newton法の2次収束性,修正Newton法の導入),4.停止判定,5.加速法,6. 反復法の誤差解析(丸め誤差等の影響も考慮した誤差解析)
- 第4回:10月23日
- II: 非線型方程式(続き).7. 多変数の場合(多変数のNewton法とその収束など),8.代数方程式(DK法の紹介とWilkinsonの例)
- 第5回:10月30日
- III: 連立一次方程式.1. 直接法.Gaussの消去法(LU分解,部分ピボット選択付きGaussの消去法など),2. ベクトルと行列のノルム(ベクトルのノルム,ノルムの同値性)
- 第6回:11月6日
- III: 連立一次方程式.2. ベクトルと行列のノルム(行列のノルム,行列のノルムの表現,スペクトル半径,Oldenburgerの定理),3.直接法の誤差解析(行列の条件数,係数の摂動,誤差と残差,条件数の概算についての補足)
- 第7回:11月13日
- III: 連立一次方程式.4. 反復法(Jacobi法,Gauss-Seidel法,SOR法),5. 反復法の収束(収束定理,スペクトル半径と行列のノルムの関係,狭義優対角行列),6. 共役勾配法(2次形式の最小化,CG法のアルゴリズム)
- 予告.来週(11/20)の授業の際,第1回レポート問題について指示をします.(締切:12月7日を予定)
- 第8回:11月20日
- III: 連立一次方程式.6. 共役勾配法(CG法の原理,収束定理,誤差評価)
- IV: 関数補間.1. 補間多項式,2. 補間公式(Lagrangeの補間,Newtonの補間,差分商)
- 第1回レポート:問題( ここからダウンロード)(締切:12月7日)
- 第9回:11月27日
- IV: 関数補間. 3. 補間多項式の誤差,4. Hermite補間,5.直交多項式(直交多項式系,直交多項式の根の分布)
- 第1回レポート問題の訂正:問3におけるA_2の第3行目は[-1,1,2]でなく[5,7,-9]の間違いでした.訂正して下さい.([-1,1,2]のままで解いてもレポートとして認めます.)
- 第10回:12月4日
- 第11回:12月11日
- V:数値積分.1.数値積分公式(m次の公式),2.Newton-Cotes公式(開型と閉型,中点則,台形則,Simpson則,誤差評価),3.複合公式(複合中点則,複合台形則,複合Simpson則,誤差評価),4.Gauss型積分公式(定義)
- 配布資料: 直交多項式の例とNewton-Cotes公式の数値例
- 第12回:12月18日
- 第13回:1月15日
- V:数値積分.4.Gauss型積分公式(誤差評価と収束についての注意)
- VI: 常微分方程式.1.基本定理(解の存在一意性,非一意性の例など),2.一段法(Euler法,一段法,離散化誤差などの定義,誤差評価)
- 第14回:1月22日
- VI: 常微分方程式.2. 一段法(誤差評価と例),3.Runge-Kutta法の解析(2ステージ2次のRunge-Kutta法の導出,sステージm次のRunge-Kutta法,諸注意)
- 配布資料: Euler法,Runge-Kutta法,RKF45公式など
- 第2回レポート:問題( ここからダウンロード)(締切:2月12日)
- 第15回:1月29日
- VI: 常微分方程式.4. 刻み幅の自動制御(RKF45公式),5.Adams型公式(Adams-Bashforth法,Adams-Moulton法,予備子修正子法,Runge-Kutta法との比較)
この講義は終了しました.