2019年 集中講義
偏微分方程式の数値解法の一つである有限要素法(Finite Element Method, FEM)の数学的な基礎理論を解説する。有限要素法は、汎用性が高く、理工学や生命科学の幅広い分野で応用されている一方で、端正な数学理論によりその数学的正当性が保証されている。この講義では、はじめに、線形楕円型方程式を題材にして、有限要素法の概要を説明する。その後、一般化Lax--Milgramの定理を紹介し、その応用として、抽象的鞍点型変分問題とそのGalerkin近似、および、Stokes問題の有限要素近似を解説する。さらに、一般化Lax--Milgramの定理の別の応用として、放物型発展方程式の空間半離散有限要素近似についても説明したい。
偏微分方程式の数値解法の一つである有限要素法(Finite Element Method, FEM)の数学的な基礎理論を学ぶ。有限要素法は、数ある数値解法の中でも、抜群に汎用性が高く、理工学、生命科学、経済学の幅広い分野で応用されている。一方で、端正な数学理論によりその数学的正当性が保証されている点でも、有限要素法は出色の方法と言える。この講義では、実解析、関数解析の様々な理論が、実用的な数値解法の正当性の確立するために応用され、方法を活用する際の重要な情報を明らかにすることを学ぶ。対象としては、線形楕円型方程式、線形・半線形熱方程式、Stokes方程式、Navie-Stokes方程式などを扱う。
関数解析の基礎(Banach空間、Hilbert空間、射影定理とその応用、典型的なSobolev空間など)を学習していることが望ましい。