2018年度 Sセメスター
微分積分学続論:2年 文科 理二三(6,12,19-20,22-24)
- 担当:齊藤宣一(数理科学研究科)
- 曜日時間:火曜日・2限
- 場所:721室
講義資料
この講義で配布する資料はすべてITC-LMSからダウンロードできます。履修届け提出後に,履修する科目は自動的に受講登録されます。
シラバス
- 授業の目標と概要:
多変数の微分積分学における様々な基本的手法を取り上げ,例を中心として必要 な理論を学び,具体的な問題を扱えるようにする. 数学・物理学はもちろんのこと,幅広い理学・工学で用いられる重要かつ有用な手法を取り扱うので,将来少しでも数学的道具を使うのであれば必須の内容である.
- キーワード
ヘッシアン、多変数関数の極値問題、陰関数定理、逆写像定理、パラメータ表示、ラグランジュの未定乗数法、重積分の変数変換、高次元極座標、パラメータを含む積分、積分記号下の微積分
- 授業計画:
講義内容はおおむね以下の通りであるが,担当教員によっては順序や内容に一部変更が加えられる場合がある.
- ヘッシアンによる極値判定法:多変数関数の極値判定は広汎な分野に おける重要なテーマである. ヘッシアンと呼ばれる2階偏微分を用いて定まる実対称行列,および対応した2 次形式を行列の対角化の理論を用いて調べることにより,関数が極値を取るため の十分条件を与える. 最大・最小問題への応用や,誤差評価のための最小二乗法なども扱う.
- ラグランジュの未定乗数法:体積が1の直方体のうちその表面積が最小となるものは何か,という問のように,変数がいくつかの関係式によって拘束されている場合に,多変数関数の極値を考えることがしばしば起こる. これを偏微分法によって判定するラグランジュの未定乗数法を学ぶ. そのための準備として,関係式f(x1,…,xn)=0が与えられたとき,その偏微分に関する適当な条件の下で,一つの変数が他の変数の関数として表されること(陰関数定理)を理解する. 更に,ユークリッド空間上の変換が局所的に可逆であるためのその微分に関する十分条件(逆写像定理)を与え,いくつかの関数の共通零点として表される図形のパラメータ表示について考察する.
- 重積分の変数変換と高次元極座標:二重積分の平面極座標による変数変換を用いるアイデアは,exp(-x^2)の積分計算を平易なものにした. 高次元空間の球体の体積などは,対称性に着目した変数で書き表し,変数変換を用いることにより求め易くなる. 高次元極座標への変数変換による積分の計算,ラプラシアンの空間極座標表示を用いる計算など,多様な実例を通して変数変換の考え方を学ぶ.
- パラメータを含む積分, 積分記号下での微分積分:積分,特に広義積分により定義される関数の微分積分を扱う. その基礎理論である関数族の一様収束は,難解な部分もあるが,理学・工学での応用面において極めて有用な理論である. 具体例としてラプラス変換,フーリエ変換(正弦変換,余弦変換),ガンマ関数の導関数などを扱う.
- 授業の方法: 講義形式であるが、小テストやレポートを課す場合もある.
- 成績評価方法:主として定期試験によるが、小テストやレポートを含めて評価する場合もある.
- 教科書:
- 参考書:
- 履修上の注意: 理系1年生の「数理科学基礎」「微分積分学」「線型代数学」に相当する内容は自由に用いる.
授業記録
- 第1回(4/10)
- 授業の説明
- 1. 熱方程式とフーリエの方法:熱方程式の導出,フーリエの方法による解の構成
- 第2回(4/17)
- 2. 関数列の収束.特に一様収束:各点収束,一様収束,定積分と極限操作の交換,連続性の保存,微分と極限操作の交換,項別積分と項別微分の定理.フーリエの方法の正当性の確認.
- 第3回(4/24)
- 3. フーリエ級数とフーリエ変換.その応用:フーリエ級数,フーリエ級数の収束,複素フーリエ級数,フーリエ変換,フーリエの反転公式
- 第4回(5/1)
- 3. フーリエ級数とフーリエ変換.その応用:具体的な関数のフーリエ変換.フーリエ変換の応用(常微分方程式,熱方程式)
- 第5回(5/8)
- 第6回(5/15)
- 4. パラメータを含む積分とその応用:熱方程式への応用
- 5. 多変数の関数とそのグラフ:(a)R^2の位相
- 第7回(5/22)
- 5. 多変数の関数とそのグラフ:(b)偏微分と全微分,(c)関数の勾配,(d)接平面
- 第8回(6/5)
- 5. 多変数の関数とそのグラフ:(e)n変数の場合
- 6. 関数の最大最小:極大・極小,停留点,2次近似,ヘッセ行列,行列の正定値性
- 第9回(6/12)
- 第10回(6/19)
- 第11回(6/26)
- 8. 条件付き極値問題: Lagrangeの未定乗数法
- 9. 陰関数定理
- 10. 逆関数定理
- 第12回(7/3)
- 第13回(7/10)
- 試験(7/24)