2016年度 Sセメスター
計算数理II(数学科4年)・数値解析学(大学院数理科学研究科)
- 担当:齊藤宣一(数理科学研究科)
- 曜日時間:木曜日・2限
- 場所:数理棟122室
講義資料
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シラバス
- 授業の目標と概要:
コンピュータを用いた数値的解析方法は,理工学を超えて,生命科学,臨床医学,金融商品研究などにまで応用範囲を拡げ,幅広く有益な知見をもたらしている.そして,複雑かつ大規模な問題のコンピュータによるシミュレーションが可能になり,実行されるにつれ,それに関わる数学的諸問題の解決への要請は強くなる.実際,シミュレーションは,コンピュータの内部で完結するものではなく,現象のモデル(微分方程式など)化,モデルの数学解析,近似と離散化,アルゴリズムの実装とプログラムの作成,データの可視化,現実データとの照らし合わせ,信頼性の検証などの一連の過程であり,それらが数理という幹で強く繋がっているのである.本講義で扱うのは,上記の「近似と離散化」の部分である.すなわち,様々な物理現象の記述に現れる偏微分方程式を対象にして,数値的方法に基づく近似解法とその数学理論の概要を解説する.なお,具体的な近似方法としては,おもに差分法と有限要素法を取り上げる.
- キーワード
数値解析、偏微分方程式、差分法、有限要素法
- 内容:
- 熱方程式
- 差分法
- 差分法の収束解析
- Neumann境界条件
- 半線形反応拡散方程式
- 変分原理
- 有限要素法
- 関数解析の準備
- 弱解と正則性
- 正則な三角形分割
- 有限要素法の収束解析
- FreeFem++による数値計算
- Lax-Milgramの理論
- Galerkin近似
- 参考書:
- 田端正久:偏微分方程式の数値解析,岩波書店, 2010年.
- K. W. Morton and D. F. Mayers: Numerical Solution of Partial
Differential Equations (2nd ed.), Cambridge University Press, 2005.
- G. D. Smith: Numerical Solution of Partial Differential Equations,
Oxford University Press, 1965.
- 山口昌哉(編):数値解析と非線形現象,日本評論社,1996年(オリジナルは
1981年)
- 菊地文雄・山本昌宏:微分方程式と計算機演習,山海堂, 1991年
- 成績評価:レポート
- 数理分類番号:551
授業記録(配布物等)
- 第1回(4/7)
- 授業の説明
- 1. 熱方程式(熱方程式,境界条件,初期条件,古典解,最大値の原理)
- 第2回(4/14)
- 2. 陽的差分スキーム(差分近似,陽的スキーム,数値例)
- 3. 陰的差分スキーム(単純陰的スキーム)
- 第3回(4/21)
- 3. 陰的差分スキーム(陰的thetaスキーム,非斉次問題)
- 4. 収束性と誤差評価
- 第4回(4/28)
- 第5回(5/12)
- 5. 非線形拡散方程式
- 6. 補足:6.1 非斉次Dirichlet境界条件
- 第6回(5/19)
- 6.2 Neumann境界条件
- 7. Poisson方程式の変分法的な表現(Poisson方程式,Dirichletの原理)
- 第7回(5/26)
- 7. Poisson方程式の変分法的な表現(Ritz近似,Galerkin近似)
- 8. 有限要素法(三角形分割,重心座標,区分一次要素)
- 第8回(6/2)
- 9. 関数解析の準備(Rellichの定理,Sobolevの不等式,Poincareの不等式,Poincare-Wirtingerの不等式,トレース定理,H^1_0の特徴付け,Rieszの表現定理)
- 第9回(6/9)
- 10. 弱解と正則性(Poisson方程式の弱解,解の正則性,Galerkin近似,Galerkin直交性,Ceaの補題)
- 11. 正則な三角形分割(局所補間誤差,分割の正則性,Zlamalの最小角条件,大域的補間誤差)
- 第10回(6/16)
- 11. 正則な三角形分割(局所補間誤差の証明)
- 12. 有限要素法の誤差評価(収束性,H^1誤差評価,L^2誤差評価)
- 第11回(6/23)
- 第12回(6/30)
- 13. Lax-Milgramの定理
- Freefem++による数値計算
- 第13回(7/7)
この講義は終了しました.